沢の中で、キレイな黄緑色のどんぐりを見つけました。
マテバシイの実です。
ベレー帽をちょこんとかぶった様な姿が愛らしいです。
先日の台風で枝が折れ、流されてきたのかもしれません。
和名のマテバシイの名は、葉の特徴がマテガイ(馬刀貝)の姿形に似ているからともされていますが、渋みの強いシイの実よりもしばらく”まてば(真手葉)”美味しく食べられるという意味など諸説あり定かではありません。
マテバシイの木質は堅く強い性質のため、昔より農具の柄や器具材として用いられてきました。樹皮は染料の原材料とされたり、シイタケ栽培の「ほだ木」や家の床柱としても使われています。
萌芽再生が早く、上質の炭が出来るので、薪炭材として優れ、実は渋みが少なく食べられます。
ドングリは縄文人たちの主食でもあったであろう貴重な食料でした。マテバシイの実は渋みの元となる他のドングリに含まれるタンニンが少ないのでアク抜きもせず美味しく食べられるため各地で植栽され、その昔飢饉時などの食料とされたようです。
現代では、実をすり潰したり砕いたりしてクッキーに混ぜて食べたり、茹で上げて皮を剥き混ぜご飯、殻を割った実をミキサーで粉砕したものをフライパンで焙煎した「ドングリ珈琲」。長崎県松浦市鷹島では、マテバシイの実を原料に「まて焼酎」として”鷹島”のブランド名で販売されているそうです。
マテバシイ/馬刀葉椎、全手葉椎
学名 Lithocarpus edulis
ブナ科 マテバシイ属
分布 紀伊半島以南、四国、九州、沖縄。